2013年5月19日日曜日

JuneBrideに憧れて#8-和泉杏奈と皆の物語

JuneBrideに憧れて


















最終話-悠久の絆

















   二人を帰らせた後、俺は手続きを済ませて病室に戻った。



     俺は一瞬、病室の前で立ち止まった・・













  ・・・杏奈、 咳き込んでる・・?







     「ぁ、杏奈? 入るぞ?」







  「ぁ・・・ 優くん、おかえり...」





          ・・この笑顔も...



               声も、いつか聞けなくなる・・。







          ──そんなの、俺には耐えらんねー。











   「どうしたの? 優くん・・・?」





       よっぽど苦しいんだろうな・・・ 俺から遠い方の手が、微かに震えてる・・





         「杏奈、もう・・・ 隠さなくていいよ。」





    「え・・・?」







         「辛いの、我慢してたんだろ・・・?」







  長い間、一緒にいたからわかるんだ・・。



    俺たちのために、無理して表情作って・・。



       ほんとは、死ぬほど痛いんだろ・・?















         「いい子だよ、お前は・・・」





    



      俺は、杏奈の頭をなで、 手にそっとキスをした。



































        ──それから2週間が経って、杏奈は再び意識を失った・・・。







































































   「ただ、覚悟はしておいてください・・。」







        その言葉だけが、静かに響く・・・。









    もしこれで助かっても、治るわけじゃない...



  ただ、永らえるだけ・・・。







         このままだと、杏奈は死ぬ・・・。



















  今更だけどさ、ほんとに、これで最後なのかも って思う。







   今まで、色々あった。



     杏奈に会ってから、毎日が楽しくなったのは、全部あいつのおかげなんだ・・。

































     ──でも、俺はあいつに何もしてやれてない。





 そうだな..。





    JuneBrideって言ったっけ・・・





        せめてあいつが、6月まで生きられたら・・・。





























 TheLastName.和泉 杏奈











 





   杏奈が倒れてから10分、真也と柴咲さんが駆けつけてくれた。





  「あぁ、真也、柴咲さん・・。」







     「杏奈ちゃんは・・・?」









     だめだ、声が出ない・・・





         手術室の灯りだけが、俺たちを照らす・・・。









       「そっか・・・もう、会えない・・かも・・なんだね・・・。」









   ──最後に交わした言葉はなんだったかな・・。



      そんなことを考える・・・







  そういや、杏奈に最後に... 







         そう思って俺は、おもむろにポケットからある物を取り出した。







      「あ・・・それ・・・」







  杏奈が最後に俺にくれた物・・・ それは、あの時・・・ 三年前に杏奈が書いた、おまじないのメモだった・・・。









  「杏奈が、最後にくれたんだ・・・。 『持ってて』って・・・。」







        ──これがきっかけで、俺たち付き合い始めたんだよな・・・。









   ふいに俺は立ち上がる・・・







       「ちょ、ちょっと、どこ行くのよ!?」







  「ちょっとだけ、外の空気吸ってくるよ・・。」









             「でも・・近くにいてあげないと・・。」







  ─そりゃ、一緒にいてやりたい・・けど・・・



























      あいつは、こうしてほしい って言ってる気がするんだ・・・。











   俺は、外に出て 杏奈がくれたメモともう一枚の紙を取り出した・・。







       ──俺が書いた「おまじない」だ。





     「──これで、いいんだよな・・・」









   俺は、その二枚に火を着ける・・。













         2枚の紙は、小さく、でも確かな輝きを放って夜の闇に消えていった・・。











  ・・・天国に行っても、また会えますように・・か、、、





















































JuneBrideに憧れて...

















ストーリー:kira-mizuki















キャラ提供:sinziro-suzuki

















製作:楓の幻灯

















SpecialThanks





見てくれた全ての読者様

























































         ──可能性として、極めて低い物ではあるが・・・。



















        「優くん・・・。」







   「あ・・・杏奈? 大丈夫なのか・・・?」















       ──それを同時に、同じ炎で燃やす事があれば...



















  「うん! もう、苦しくないよ!」









        「そっか・・・ よかった・・。」











           ──両者の寿命は、書いた時点での両者の平均寿命をとって決められ・・・















           「信じられん・・。あれほど悪化していたというのに・・。」





















               ──両者は 「同じ場所」「同じ時間」「同じ原因」で死ぬ...



















         「ここまで回復していれば、退院も近いですぞ!」





  「やったぁ!」





















       運命ですら変えるその力は。









             ほんの少しの勇気と





        小さな偶然・・・。

























   2つの力が合わさって、芽生えた物なのかもしれない・・・。















































   『──おしまい、おしまい。』







       『お父さん、もっとお話しして!』





     『ほら、お父さん 疲れてるんだから・・・ 信次郎には、私がお話ししてあげよっか』







        『うん! お母さん、あのお話しして?』





      『もぉ・・・ しょうがないわね・・・  ──あれは、私が高校生の頃・・・』































   ──JuneBrideに憧れて[最終話] -完-

0 件のコメント:

コメントを投稿

スパムコメント対策として、単語入力にご協力ください><