2013年5月19日日曜日
JuneBrideに憧れて#3-和泉杏奈の物語
JuneBrideに憧れて
The First Name.美島 優
1章-Process
・・・あった、小さいメモ帳・・・。
ピンク色のラインと、右下にコスモスが描かれてる。
「えっと・・・。美島 優 っと・・・。」
あぁ、でも・・・
確か、これって誕生日も書かないといけないんだよねぇ・・・
誕生日知ってる っていうのは、すでに結構親密な仲になってる気がしないでもない。
こういうのはお約束・・・か・・。
しかもさ、教えてくれた本人にこんな事聞いたら、私バカみたいじゃん・・。
そう言いながら、家でネットを見ていると、こんなページを見つけた。
「全国1万人の男女から、成功事例多数! 『恋の魔法』!」
(ナニコレ・・・ こういうのってほんとに成功事例とか来てんのかなぁ・・・。)
と言いつつ見てしまう。 こういうのは嘘でもほんとでも大好きなのだ。
(恋の魔法・・・か・・・)
恋の魔法
・好意を持つ相手の戸籍に記入されている実名と、誕生日を書き。その下に自分の名前、誕生日を記入して、その紙を燃やすと、その相手と結ばれる。
・どんな紙に書いてもかまわない。
・異性であれば、どんな状況であってもそれは行使されるが、同姓に対しては適用されない。
・どちらか片方のみが、この契約を行使しても それは相手と結ばれるまでの時間だけであって、この契約はその後の事を保障しない。
・この契約は、自分が、自分の名前を書かないと執行されない。
・この契約を執行した後、一週間の間に、起こりうる全ての状況で「きっかけ」が発生する。 しかし、執行した者が、「きっかけ」を利用しないなら、この契約によって結ばれる事はできない。
・可能性としては極めて低い物ではあるが、両者がそれを同時に、同じ炎で燃やす事があれば、この契約は両者が死ぬまで持続する。
・上記の場合、両者の寿命は、書いた時点での両者の平均寿命をとって決められ、両者は 「同じ場所」「同じ時間」「同じ原因」で死ぬ。
(・・・なんか、信じていいのか悪いのか・・・)
それよりも重大な事に気付く・・・
(「きっかけ」を作ってくれるだけ・・・か・・・。)
自分で行動しないと・・・ だめなんだよね・・・ やっぱ。
2章-Birthday
ぁ~
美島君の誕生日・・・
わっかんないよぉ・・・。
それに・・・ 美島君の好きな人・・・
・・・もぉ、私らしくもない! しっかりしないと...
バイトに行く・・・
「よぉ、おはよう。」
「ぁ、おはよー」
もう雑用も慣れてきたのに、まだ美島君とこうしてるのが夢みたいで・・・。
そんな時、美島君が思いがけない事を言う・・・。
「そういえば、和泉ってさ誕生日いつ?」
「え・・・、6月18日だけど・・・?」
え・・・? これってもしかして・・・。
「あの噂さ、試してみようと思って・・・。 俺、和泉の事好きなんだ。」
「え...?」
その時、私は目を覚ました。
(ったく、夢かよ・・・・)
(いや・・・)
(そりゃ、夢だよね・・・。)
「やば、バイト遅れる・・・。」
私はその日、またバイト先へ向かった。
3章-Who?
さっきの夢が、妙に頭に残る・・・。
あー・・・。変にリアルだし・・・。
想像だけ広がってく・・・。
もぉ、めんどくさい・・・。
直接聞こう...
そうすれば、彼だって・・・。
「あの・・・美島君・・・?」
「ん? どーした?」
「その・・・、美島君ってさ・・・ 好きな人とかいるの・・?」
ち、違う・・・。 何言ってんだ私・・・。
誕生日聞かないと・・・。
・・・でも、好きな人いるなら・・・。
ちょっと、諦めかけた私がいた。
(美島君? ちょっとだけ・・・顔赤いよ・・?)
「ん・・・ 俺は・・・ その・・・。」
聞くしかない、そう思った。
例え、結ばれるまででもいい。
それでもいいから・・・。
美島君と、一緒にいたい・・・。
「じゃぁ・・・、誕生日、教えて・・・?」
私も、顔が真っ赤になる・・。
だめだ、言わなきゃよかった・・・。
ここで振られたらどうしたらいいんだよぉ・・・。
「えと・・・ 2月の6日だけど・・・」
やたっ、誕生日聞け...
「ん・・・ッ」
次の瞬間、私の口がふさがれた...
そう、彼の唇によって・・。
少しして、互いの唇が離れる・・。
二人とも 顔が真っ赤だ。
「ごめん・・・。」
「ぅうん・・」
そりゃ、『何すんのよ!』って怒るのが普通なんだろう・・・けど・・。
例え、順番が逆でも・・・。
「俺さ・・・ 和泉の事、前から好きだったんだ...」
だめだ、頭ん中真っ白んなっちゃってる・・。
けど・・・言わなきゃ・・・。
「わ、私も・・・。」
もしかして・・・、これも...
夢なのかなぁ・・・。
「和泉・・? どしたの?」
「ぁ、いや・・・ ぅうん... なんか、夢みたいだなぁ・・・ って思って・・・。」
私がそう言うと、彼は私のほっぺに手を伸ばして、軽くつまんだ。
「い、痛ひよぉ・・ 優君・・。」
夢じゃないみたい・・・ ってか、思わず私優君って・・・。
「な? 夢じゃないだろ?」
夢でもいい、楽しまないと損だよね
「杏奈、これから いっぱい楽しい事しような!」
───噂なんか頼らなくたって、ちゃんと想いは通じた・・。
大好きな人と歩む長い道のり。
これから何を見てくんだろう───
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